学校行きたくない中学生が増えています。
中学生は、学校に行きたくなくなるという最も不登校生のリスクが高い年代です。
平成26年の文部科学省の調査によると、小学生の不登校の割合は330人に1人ですが、中学生不登校の割合は37人に1人となっています。
1クラスに1人が不登校になるのですから、どの子どもにも起こりうることだと言えますし、中学生の不登校は、決して特別なことではありません。
一方で、不登校は特別なことではないと言っても、起こってしまった場合には可能な限り短い期間で学校に戻れるようになってほしいというのが、親の本音です。
中学生という年代を踏まえて、お子さまの不登校の原因をきちんと理解し、適切なサポートを利用しながら対応しましょう。
中学校に行きたくなくなる原因とは?
中学生が不登校になる原因は子供によって様々で一概にこれが原因とは言えません。
ですが、一般的に原因として多いものを挙げてみました。
成果が出ないことへの無力感
定期テストや部活動など、競争にさらされたり、中学生になって優劣をつけられる場面が増えてくる中で、がんばっても思ったような成果が出ずに息切れをおこすことがあります。
成果が出るからこそ次もがんばろうと思えますし、うまくいかなくても手応えをつかめたり、次への希望があるからこそ、がんばろうと思えるのです。
失敗続きで希望を見いだせず、息切れしてしまうことが不登校の原因になります。
受験勉強のストレス
高校受験を控えているというプレッシャーや受験勉強のストレスも、不登校を引き起こ
す原因になります。
これによって不登校になると、周囲が勉強に励んでいるため、自分だけ取り残されているような気持ちになり、適切に対応しないと状況はますます悪化します。
中学での人間関係の複雑化
小学校では人間関係はクラスの中だけ(せいぜい加えて習い事)におさまっていました
が、中学からは部活動が始まり、塾に通う場合も多く、同級生との人間関係の軸がどんど
ん増えるばかりか、年の異なる先輩・後輩といった上下の関係もでき始め、人間関係が複雑になります。
一緒に昼食を食べる、遊ぶ、帰るといったグループを形成する場面において、気をつかわないといけない要素が増えますし、自分の思い通りになりにくくなるのです。
部活動では、先輩後輩といったこれまでとは違う関わり方と態度が求められる存在もでき、中学から人間関係は非常に複雑になるのです。
そこにストレスを感じ、学校に行きたくないと思う子もいるようです。
不登校の対応では実際に子供が不登校になってしまった場合に、親として、どのように対応すべきな
のでしょうか。
1 子供に寄り添い会話を引き出す
子供が学校でいじめられている場合、たいていの場合は、そのことを話したがりません。
ですので、子供を細かく注意深く観察して、表情や声などかすかなサインを見逃さないことが重要です。
落ち込んだ様子、無気力な感じ等のちょっとした変化を感じ取ったら、さりげなく学校の様子を聞き出して情報収集しましょう。
「今日の授業はどうだった?」「部活はどのくらい練習するの?」「帰りは友達と帰るの?」
間接的に学校の様子をうかがえるような質問をして会話を作り出しましょう。
間違っても、「何かあったの?」「いじめられてない?」「○○さんとは最近仲いいの?」などと言った、直接的に人間関係を問う質問はNGです。
子供は、いじめの事実を思い出したくありません。ただ、話すことで楽になることは事実です。
2 必要に応じ学校を休ませる
子どものあせりや不安感を受け止め、頑張りを認めてあげてください。
「学校に行かなければならない」「学校に行かせたい」という気持ちを捨ててください。
そういった親として心配する気持ちや学校に行ってほしい本音を感じ取ってしまうと、ますます学校に行きたくない・行ってない自分を責めてしまいますし、自身を失います。
休み始めたら、本人にはしばらく休んでもいいことを伝え、安心感を与えましょう。
無理に学校に行かせようとすれば、子供は学校だけでなく、家庭にも居場所がないと思い、余計にストレスを感じてしまいます。
まずは、自分が子供の味方であり、理解者であることを伝えましょう。
3 不登校の原因を理解する
落ち着いてゆっくり話ができる機会を子どもと持つようにしてください。
ただ、学校に行きたくない理由を言わない場合や言えない場合も多いです。
その時は、先ほども説明したとおり、直接的な話を聞きすぎてはいけません。
何度も聞かれることで不登校の自分への罪悪感が増しますし、親が納得しそうな理由をとりあえず言って、あとから本人が苦しむことも多いからです。
不登校の原因は、いじめの有無の徹底的な確認は必要ですが、それ以外はわからなくてもかまいません。
なんとなく大体の事情を察することができれば十分です。最初に書かれた中学生特有のストレスによるものだと理解してあげてください。
4 小さな自信を育み積み重ねる
学校に行ってなければ、何をしてもいけないわけではありません。学校以外の世界、グループ、団体に属するのは、気分転換としても、また学校以外にも素敵な友達や人間関係があるんだ、と安心できるきっかけになりますので、きっかけを作って、積極的に参加しましょう。
空手教室、ダンス教室、囲碁クラブなど、塾のように個々に勉強するのではなく、皆で練習するような教室に通わせるのは良いきっかけになります。
むしろ、好きなこと、得意なこと、興味のあることをどんどん応援し、そういったところでのがんばりをほめてあげてください。
学校以外の場での取り組みの中で、成功体験をつんだり、まわりからほめられることは、自己肯定感や自信の形成につながり、不登校からの回復に大きく寄与します。
また、可能であればお手伝いをお願いしてみてください。
家の中で役割を得ること、感謝されることも、自信につながっていきます。
小さな自信を得るための工夫をして、積み重ねていきましょう。
5 ホームスクーリング
それでも学校にいけない場合上記の方法によりどうしても子供が学校にいけない場合にはホームスクーリングに切り替えるという方法もあります。
ホームスクーリングとは、家庭の中で親が先生となる教育法です。学校に通うことを否定するわけではないのですが、子どもをある程度、家庭の責任で教育してから外の世界に触れさせても遅くはないのでは、という考え方です。
ホームスクーリングのメリットとしては子どもたちそれぞれの個性を伸ばすことができます。
自分の興味あることを存分に勉強できる、勉強が好きという意識を持つことができるという効果もあるようです。
学校に行くことだけが子供が勉強するための方法ではありません。一つの学習形態としてホームスクーリングに切り替えるのも考えてみてはいかがでしょうか。