フォニックスルール5:サイレントe (マジックe)
サイレントe (マジックe) が含まれる単語は、直前の母音が長母音となります(フォニックスルール5)。
それでは、サイレントeとは?直前の母音が長母音となるとは?以下で、サイレントeとフォニックスルール5をマスターしていきましょう。
サイレントeとは?
サイレントEとは、単語の末尾にあって発音しない(サイレントな)Eのことを言います。eという文字があるにもかかわらず音が生じないことはマジックのようでもあるため、マジックEと呼ばれることもあります。
たとえば、knife、rice、take、phone、cake、make、cuteなどです。いずれも末尾にeがありますが発音はしませんね。
サイレントEの効果―直前の母音を長母音で読む―
音を発しないサイレントEですが、それでは何の役目もないただの飾りなのかと言うとそうではありません。上述のように、サイレントEには、「母音+子音+”e”」の時に、直前の母音を長母音で読むという重要な役目があるのです。(フォニックスルール5)。具体例はすぐあとで紹介します。
なお、ここで短母音とは、アルファベットの音で発音する母音(a,i,u,e,o)のことです。たとえば、aなら「ア」、iなら「イ」、u は「ウ(厳密には後アとオの中間のような発音になります)」、e は「エ」、oは「(ア)オ」と発音します。これに対し、長母音は、アルファベットの名前で発音する母音のことをいいます。たとえば、aなら「エイ」、iなら「アイ」、u は「ウー/ユー」、e は「エー」、oは「オゥー」と発音します。
サイレントEの具体例
それでは、直前の母音を長母音(アルファベットの名前で発音)で読む具体例について見てみましょう(正確ではありませんが、分かりやすいように発音は日本語的なカタカナ発音で書いてみました)。
冒頭で挙げた例でいくと
knife(ナイフ)、rice(ライス)、take(テイク)、phone(フォン)、cake(ケイク)、make(メイク)。
このように、単語の末尾にeがある単語は、その直前の母音が長母音(アルファベットの名前で発音)で読まれていますね(riceなら、eの直前の母音iを長母音「アイ」と発音することで“ri”=「ラアイ」と発音することになっています)。
今例に挙げた単語は、いずれも末尾のeがなければ単語として成立しないものでした。他方、末尾のeがなくとも単語として成立しているものでも、末尾にe(サイレントE)がつくことによって、直前の母音が長母音化するものがあります。これもやはりサイレントEの効果の一つです。
たとえば、以下のものが挙げられます。
not(ノット)→note(ノオト)
「いいえ」 「ノート」
rip(リップ)→ripe(ライプ)
「~を裂く」 「熟した」
win(ウィン)→wine(ワイン)
「~に勝つ」 「ワイン」
cut(カット)→cute(キュウト)
「~を切る」 「かわいい」
hop(ホップ)→hope(ホオプ)
「ぴょんと跳ぶ」 「~することを望む」
sit(シット)→site(サイト)
「座る」 「場所」
pet(ペット)→Pete(ピイト)
「ペット」 「ピイト(名前)」
Tom(トム)→tome(トオム)
「トム(名前)」 「(重い・学術的な)本、大冊」
いずれも、単語の末尾にサイレントEが加わることによって直前の母音(a,i,u,e,o)が長母音に変わっていることが分かりますね。
さらに、これまで紹介してきた単語は、1音節(後述)の短いものばかりですが、2音節以上の単語の場合にも同じ効果が表れます。
amuse(アミュウズ)
change(チェインジ)
compete(コンピイト)
decide(ディサイド)
suicide(スウイサイド)
なお、音節とは音のまとまりの単位のことです。英語の場合、一つの音節の中には原則として母音は一つです。たとえば“soccer”なら、母音ごとに分解するとso・ccerの2音節となります。
サイレントEの例外
もっとも、単語の末尾にeが来ればすべてサイレントEとなるかと言えばそうでなく、例外もあります。
サイレントEはフォニックス(文字と発音との間のルールを明示し、正しい発音の仕方を容易にする学習方法)のルールのうちの一つですが、フォニックスルールが適用できる英単語は全体の75%と言われており、サイレントEについても例外は存在します。例外なく100%適用できればありがたいところですが、そもそも言葉とはルールが先にあるものではありませんし、時代に沿ってどんどんと形を変えていくものなので、例外は「そういうもの」として覚えるしかありません。
サイレントEの例外としては、たとえば以下のものがあります。
be
he
me
she
これらは末尾のeがサイレント(発音しない)になっていませんね。be(ビィー)he(ヒィー)me(ミィー)she(シィー)といずれもEの音が出てきています。
そのため、便宜上サイレントEの例外と言いましたが、厳密にはこれらはサイレントEではありません。
ほかにも次のような例外があります。
come
done
これらは末尾のeはサイレントになっていますが、直前の母音が長母音(アルファベットの名前で発音。oなら「オウ」)にならず、短母音のままです。
come(カム) done(ダン)と短母音の発音になっています。
また、
love
give
のようにVの音で終わる単語にもサイレントEのルールが当てはまらないものがあります。
love(ラヴ)give(ギヴ)と直前のV(ヴ)の子音の発音になっています。
これらは理屈で説明がつくものでもないので、こういった使い方もあるんだなということを頭のどこかに入れておきましょう。
サイレントE (マジックe) はセンター試験でも活かせる
英語のセンター試験では例年発音の問題が出題されています。
2018年度のセンター試験問題を見てみると「サイレントE」を知っているだけで解答を絞れる問題もありました。
問題
下線部の発音が他の3つと異なるものを1〜4のうちから1つ選べ。
1.commit
2.convince
3.insist
4.precise正解が、分かりましたか?
正解は4です。
commit(コミット)
convince(コンヴィンス)
insist(インシスト)
precise(プレサイス)この問題には、単語に”e”が付いているものが2つありますね。
“convince”と”precise”を発音してみると「コンヴィンス」と「プレサイス」となります。
この2つで発音が違うということは、答えはこの2つのどっちかだ!って感じで簡単に絞れちゃう訳です。
あとはどっちが正しいかを他の単語と比べて解答を導き出すだけです。
2番の”convince”はサイレントEで「コンヴァインス」じゃないのか!
って声が聞こえて来ました。
最初の方を読み直してもらえると分かりますが、サイレントEでアルファベット読みになるのは「母音+子音+”e”」です。
それは忘れないようにしてください。
サイレントEを知っていればでセンター試験の問題も簡単に解けるものもあるので覚えておいて損はないと思いますよ!