「子どもにはたくさん食べて大きくなってほしい」「自分の愛情をこめて作った料理を完食してほしい」、このように考えるお母さんは多いはず。もっとも、「親の心子知らず」で、全然ご飯を食べてくれず、お残しばかりする子どもも少なくありません。 そこで、ここでは子どもが食べ残しをしなくなる方法と気を付けたいNG事項について紹介したいと思います。

そもそも食べ過ぎはNG

食べ残しの改善を考えるときに併せて考えておきたいことは、そもそも食べ過ぎはNGということです。別コラム『子どもが肥満になる原因とその影響』でも述べていますが、文科省が行った「平成28年度学校保健統計調査」によれば、肥満傾向児の割合は5歳児が2.68%、6歳児が4.35%、7歳児が5.74%、8歳児が7.65%とのことです。

平成20年度の同調査時には、直近30年間で肥満傾向児が2~3倍に増えたと報告されており、子どもの肥満は一つの問題となっています(もっとも、肥満傾向児の増加傾向は落ち着き、平成18年度以降は概ね減少傾向のようです)。

肥満傾向児の増加の背景の一つには、食事内容の欧米化・ジャンク化があり、肥満による弊害には、内臓脂肪の広大化による血流悪化に伴う健康悪化や、肥満を気にして引っ込み思案になってしまったり、運動機能の低下により体育や運動会が億劫になってしまうという精神面への悪影響もあります。

食べ残しをする家庭の声

もっとも、子どもの健康や成長のためにも、頑張って作った自分のためにも、出したお皿分の料理はしっかりと完食してほしいですよね。 食べ残しをする家庭では次のような心配の声が多いようです。

・幼稚園・保育園ではちゃんと給食を食べるのに家では全然食べない

・ちゃんと食べる日とそうでない日にムラがあり心配

・テレビばかり観ていて全然お箸が進んでおらず、お残しして終わってしまう

・偏食が激しく嫌いな物には口をつけない

・全般に少食で栄養が足りているのか不安になる
etc

食べ残しを減らす方法

それでは、子どものお残しを減らす方法にはどのようなものがあるでしょうか?

食事量を減らす

まずは、一回の食事量から見直してみましょう。大人と子供とでは食事量に大きな違いがあるのはもちろん、子ども同士であっても体格や消化スピードの個人差などから、一回の食事量の適量は異なってきます。親の目から見てちょうどいいと思った量でも、子どもにとっては多すぎることがあります。食べ残しを減らすスタートとして、まずは食事量の見直しから始めてみましょう。
食事量を減らして、出された分を完食できるようになれば、完食することが習慣化するため、徐々に食事量を増やしていった場合にも完食できるようになります。

 

料理を小分けにしてみたり食器を子ども用のプレートに替えてみる

一皿のボリュームが多ければ、完食するのに気が滅入ってしまい、始めからお残しモードになってしまいます。小皿に分け、一皿当たりのボリュームを減らせば、心理的圧迫も解消されますし、一皿を完食できれば他のお皿を完食するモチベーションも上がります。
また、食器を子ども用のプレートに替えることも一つです。子ども用のプレートもいくつかのブロックに区切られており、かつ見た目もお子様ランチ風で可愛いものがたくさんあるので、子どもに完食へのプレッシャーを与えることがないでしょう。

 

食べやすさに注意してみる

子どもの口は小さく、噛む力も弱いです。そのため、お肉やキャベツなどの硬めの野菜を何十分ももぐもぐしていることも少なくありません。噛めば噛むほど満腹中枢が刺激され空腹が満たされてしまいますし、子どもも食べることに疲れてしまいます。ですので、お肉ならトロトロに煮込んだり、野菜も茹でるなど、噛みやすさを考慮して調理してみるのも良いでしょう。
一方で、しっかりと噛むこともあごや脳の発達(たくさん噛むことで脳が刺激され血液の流れが活発化する結果、脳は活性化されます)、情緒の安定などのために大事なことですので、習慣づけることは必要です。

 

間食を減らす、ご飯の前には外で遊ぶようにする

間食が多ければ、その分晩ごはんのときにはお腹が空いていない状態になってしまいます。間食のおやつには、塩分や糖分が過剰に含まれた不健康なお菓子が多いため、その点でも間食の取り過ぎには注意です。間食の時間を予め決めておいたり、晩ごはんの時間を知らせておいてコントロールさせるなどして、晩ごはんのときに子どもが空腹な状態になっているよう気を付けてみましょう。
また、外で遊ぶことでもエネルギーは消費され、お腹は空きます。家の中でテレビゲームやスマートフォンで遊び、外に出ない子どもが多くなりましたが、外での運動はエネルギーを消費するほか、運動能力や協調性が身に付くうえ、情操教育上も効果が高いので、普段から親子でスポーツをするなどして、外での遊びの楽しさも伝えておきましょう。

 

一緒に料理してみる

一緒に料理をすることも、完食のための方法の一つです。一緒にと言っても、簡単なお手伝いをしてもらうだけで十分です。2~3歳児なら、レタスをちぎってもらったり、マヨネーズをかけてもらったり、もう少し大きくなれば、ミンチをこねてもらったり、卵を割ってもらうなどです。食器を机まで運ぶことや白ご飯をよそうだけでも、子どもにとっては立派なお手伝です。
一緒に料理をしたりお手伝いをしてもらうことで、食卓に並ぶご飯も自分が関わったものとして美味しく感じられるので食欲も増進します。食事の際には、子どもを目いっぱい褒めてあげて、料理やお手伝いの話を家族で話題にしてあげると食事の時間がより楽しく子どものお箸も進むでしょう。

 

食べ残しを防ぐ上で気を付けたいNG事項

食べ過ぎはNGと冒頭で述べましたが、その他にも子どもの食べ残しを減らすうえで気を付けたいNG事項がいくつかあります。

「もう一口」はNG

子どもがお残しをしようとするとき、
食事量を自分でコントロールする機会を失ってしまう。自分でコントロールできなければついつい惰性で食べ過ぎてしまったり、ストレス時の暴飲暴食につながってしまう。結果、健康を害してしまう。

子どもがこれ以上食べられないと言ってお残しをしようとしたときに、「もう一口だけ頑張ってみよう」と声をかけることがよくあります。少しでもたくさん食べてほしい親心は理解できるものの、これはありがちなNG事項です。
まず、子どもとしてはすでに満腹でこれ以上いらないからお残しをしようとしているわけであり、それにもかかわらず、さらに一口を強いられることは酷です。
それだけでなく、「もう一口」は、子どもが自分の食事量をコントロールするための機会を奪うことにもなります。すでにお腹いっぱいで、これ以上食べてもしんどいだけなのに、惰性でダラダラと食べ続けてしまう人や、ストレスなどを理由に暴飲暴食に走ってしまう人がいます。こうした人は、過剰な食事量によって肥満や生活習慣病に苦しむことになります。
このような大人にならないためにも、自分の適切な食事量を把握し、過度な食事を拒否するコントロール能力は必要であり、お母さんの「もう一口」は、そのような能力獲得の機会を奪ってしまうことになるのです。

 

全部食べたらごほうびもNG

同じく、「全部食べたらごほうびのデザート!」など、ごほうびで無理やり完食を促すこともNGです。子どもはごほうびのために何とか完食しようと頑張るかもしれませんが、満腹を超えた食事は、食事量をコントロールする機会を奪ってしまうだけです。 他方、始めからデザートを食卓に出しておき、他のメニューと同様に好きなときに食べさせる、という方法は効果的なようです。日本の食卓では「デザート=最後」として、デザートが始めから食卓に並んでいることはほとんどありません。ですが、これならデザートのために無理をして食べることもなくなりますし、デザートの甘みがちょうど良い箸休めになり、無理せず完食できることも多いようです。

親が食べ残しを食べるのはやめる

これは親サイドのリスクになりますが、子どもが食べ残した物をもったいないからと言って替わりに食べるのもNGです。
これは、親が肥満になるリスクはもちろん、子どもの手足口病が移るリスクもあるからです。
手足口病とは、患者のほとんどが小児であるウイルス性の感染症で夏に流行します(5歳未満が全体の約8割を占めるそうです)。
食べ残しを親が食べることによる感染の典型例は、唾液を感染経路として子どもの口内炎が親に移る場合です。大人の手足口病は治りにくいそうなので、子どもの食べ残しを食べる習慣のあるお母さんはなるべくやめるようにしましょう。