小さな兄弟(姉妹)はよく喧嘩します。お母さんにとっては、家の中がいつも騒がしく大変なものですが、喧嘩は子どもの精神面での成長にとって重要です。もっとも、常にけんかを放っておき放しにすることはできませんし、他方ですぐに止めてしまうのも良くありません。 ここでは、兄弟喧嘩のメリットと、対応する際の注意点について紹介したいと思います。

兄弟喧嘩のメリット

喧嘩をすることのメリットと言うと、おかしく聞こえるかもしれませんが、子ども同士の兄弟喧嘩は子どもの成長にとって大事なものです。具体的には、以下のようなメリットがあります。

兄弟喧嘩を通して他人の気持ちを考える機会になる

一人で遊んでいる場合や、自分に優しくしてくれる人とだけ遊んでいる場合、そこには自分と意見が衝突する他人や、自分のやりたいことを邪魔してくる他人は存在しません。このような環境の下では、子どもが他人の気持ちを考える機会は乏しくなってしまいます。
これに対し、兄弟の存在は、時にはおもちゃを取り合ったりご飯を取り合ったり、あるいはお母さんの愛情を取り合ったりと、自分のやりたいことを邪魔してくる存在になります。そこで、邪魔者を排除しようとけんかが勃発してしまいますが、そうした衝突の中でこそ、子どもは他人という存在を認識し、また他人の気持ちを考えるようになります。

 

兄弟喧嘩によって手加減を覚える機会になる

特に男の子の兄弟の場合、まず間違いなく取っ組み合いのけんかをします。取っ組み合いは、限度を超えれば大ケガにもつながるので、場合によっては止めに入らなければなりませんが、手加減を覚えるうえで重要な機会にもなります。子どもは子どもなりに、顔は殴らない、グーでは殴らない、急所は殴らない、など一定の暗黙のルールの中で取っ組み合いをするものなので、過度にケガを心配して止める必要はありません。むしろ、子どもなりのルールの中で取っ組み合いをしつつ、けんかの終息をはかっている部分もありますので、基本的には放っておいても大丈夫です。
手加減を知らずに大人になるのは怖いものです。自分がどれくらいの強さで叩けば相手がどれくらい痛いのか、相手に叩かれたら自分はどれくらい痛いのか、そういった相場観を持っていなければ、大人になったあと思わず取っ組み合いになってしまった場合、大ケガをする、あるいはさせることにもなってしまいかねません。

 

考える訓練にもなる

けんかをするとき、何も言葉を発さずに取っ組み合いになることはありません。おもちゃの奪い合いなら、「そのおもちゃは僕の物だ」「お兄ちゃんばっかりずるい。おもちゃはみんなの物ってお母さんが言ってた」など、何らかの会話とともにケンカはなされます。こうした言い合いは、子どもに善悪の判断やどういった解決が望ましいかを考える訓練にもなります。もちろん、子どもなので「うるさい、返せ!」と言って、論理的な言葉のキャッチボールにならないことも多いですが、そのような場合でも、お母さんが間に入ってそれぞれの意見を聞き、一方の意見に他方がどのように思うのかを落ち着いて問いただしていけば、子どもも冷静になって考えることができるようになります。

 

兄弟喧嘩に対応する際の注意点

上の子ばかりを叱らない

兄弟げんかが起きた時、上の子を「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢しなさい!」と言って叱る人がいますが、これは良くありません。
上の子は「なんでいつも自分ばかり我慢しなくちゃいけないんだ」と不公平感を覚えますし、その不公平感を全面に出して泣きわめかれたのでは建設的なけんかの解決にはなりません。
また、下の子も「お母さんに言いつければお兄ちゃん(お姉ちゃん)が叱られるから大丈夫」と、わがままになってしまいます。
けんかの間に入る際には、あくまで公平・平等に扱い、「お兄ちゃんは昔これで何度も遊んだから、今日は○○に貸してあげようね」とか「お兄ちゃんはいつも我慢してくれているから、今日はお兄ちゃんに貸してあげようね」と言って、不平等感を感じさせないように接してあげましょう。

 

仲裁後しばらく待ってから話を聞いてあげる

けんかをしているとき、当事者二人はヒートアップしきって自我をむき出しにしてしまいます。ですが、いったんクールダウンすれば素直になって相手におもちゃを譲ってあげたり「ごめんなさい」と謝ることもできるものです。
ヒートアップしている子どもに同調して、お母さんまで怒鳴ってしまったのでは、子どももクールダウンすることができません。仲裁役のお母さんは、まず両者の間に入って、落ち着かせた後で、それぞれの意見を聞いて、判定結果を伝えてあげましょう。

 

取っ組み合いをしていてもすぐには止めない

上述の通り、取っ組み合いは手加減を知るうえで重要です。子どもは子どもの暗黙のルールの中で加減をしながら取っ組み合いをしていますし、無理にお母さんが止めに入らなくてもひとしきり暴れて疲れた後にはケロッと仲直りしたりするものです。
青春漫画でよく、男の子同士が殴り合いをした後、へとへとになりながらお互いの健闘をたたえ合って親友になる、というシーンがありますが、あのようなイメージに少し近く、放っておけば勝手に解決していることはよくあります。もっとも、加減が上手くできなかったり、頭に血が上り切って大ケガにつながる場合もあるので、必要があればいつでも止めに入れる範囲で様子を見ておくことは重要です。

 

夫婦で役割分担を

兄弟げんかに限ったことではありませんが、子どもを叱るとき、お母さんとお父さんで役割分担をするようにしましょう。ひとしきりお母さんに叱られた後、さらにお父さんから雷を落とされてしまったのでは、子どもも疲弊するだけで、十分に反省する余裕がありません。
お母さんが叱ったのならお父さんは慰めてあげる、など夫婦で役割分担をするようにしましょう。