オランダ人の英語力はとても高いです。学歴や職業に関係なく、国民の実に90%以上の人が英語を話すことができます。欧州諸国は総じて英語力が高いですが、その中でもオランダは特に高いスコアを得ています。 イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)が2012年に世界60か国70万人の成人を対象に行った無料英語テストの結果(第3回 EF 英語能力指数(EF EPI))によれば、オランダは60か国中3位という高水準でした(1位はスウェーデン、日本は26位でした)。 それでは、オランダ人の英語力の秘密は何なのでしょうか?

オランダ語は英語と似ている

突然ですが、オランダの公用語は何でしょうか? 答えはオランダ語です(当たり前のようですが…)。オランダでは、日常会話のほとんどはオランダ語でなされます。 このオランダ語は、英語やドイツ語などのゲルマン系の言語ととても似ています。アルファベットは、英語の場合a~zの26文字ですが、オランダ語はこれに1文字加えただけの27字です。また、単語も“book”と“boek”、“kat”と“cat”のように、察しのつくものが多く、文法的にも似通っています。 “I read this book.”をオランダ語に訳すと“Ik lees dit boek.”ととても似ていることが分かりますね。 このように、言語体系が英語と近いことが、オランダ人が英語を得意とする理由の1つです。

先進的な教育方法

もっとも、オランダ人が英語を得意とする理由は言語が似ているだけではありません。その教育方法も先進的だからです。

5歳からスタート

オランダでは5歳から義務教育が開始されます。そして、義務教育開始と共に英語学習もスタートします。
英語の早期学習の理由は、脳細胞が多く活発な時期にスタートすることが最も効果的と考えられているからです。脳細胞は年齢と共に減少していくので、英語学習も早ければ早いほど良いというわけです。

 

文法は中学生から

そして、文法は中学校に入ってから勉強するようにし、小学校の間は後述の通り、聴くこと・声に出すことを徹底します。
日本でも、子どもの頃に親の都合でアメリカに行き、現地の子と話すうちに英語を覚えた後、日本に戻り英語の授業を受けてみたら、「あぁ、こういうことだったのか」と感覚で覚えていた英語と文法とが結びついた、という話はよく聞きます。
オランダの英語学習はまさにこの順番で行われるのです。

 

大きな声で音読

勉強法は、毎日1時間単位、小学1年生から7年生(オランダの小学校の最高学年)までが各学年用の教科書を使用します。
この教科書は、カラフルなイラストがメインとなっており、このイラストを見ながら音読が徹底的に繰り返されます。こうすることで、左脳(言語をつかさどる)と右脳(視覚や聴覚をつかさどる)が同時に活性化し、脳の稼働率が上がるようです。
さらに、音読の際も、大きな声でしっかり発生する方が脳の活性化に良いそうです。
そのため、オランダの英語授業では生徒が大きな声で音読するよう指導されています。低学年のうちは、大きな声での音読だけですが、中学年以降になるとそのテンポも重視されるようになってきます。
大きな声でかつニュース番組レベルのテンポ(かなり速い!)で音読を続けることで、いつの間にか自然と英語が口をついて出るようになるといいます。

 

英語と母国語を区別

もっとも、「母国語も完ぺきではない小学生のうちに英語を学習してしまうと、どちらも中途半端になってしまうのではないか?」という疑問があります。この疑問は、日本でも小学生の英語教育に対して常に向けられてきました。
オランダでは、そのようなことにならないよう、高学年からセルフ・インタープリティング(自己通訳)が行われています。これは、英語の文章を話したら、そのあとすぐにオランダ語で通訳するもので、英語とオランダ語をきっちりと使い分けられるようするものです。

 

大学卒業後は英語圏へ

オランダの若者には、大学卒業後、アメリカやイギリスなどの英語圏で半年ほど暮らす人が多いそうです。
英語圏で暮らしネイティブと直接接することで、オランダなまりを消し英語の磨き上げをすると同時に、海外で暮らすことで自分に自信をつけるようです。

 

国民性

英語の必要性を強く認識

オランダの人口は1600万人ほどで、国の規模としては大きくありません。そうしたことから、オランダ人はビジネスをする上で英語が必要であることを熟知しています。このあたりは、お隣の韓国にも似ているかもしれません。韓国も対外貿易が90%を超える、外需依存の高い国のため、国際ビジネス上必要となる英語教育に非常に力を入れており、海外留学生の数も日本よりはるかに多いです。
日本でも、仕事をする上で英語は役に立つ、くらいの共通認識はありますが、必要性を熟知しているかと言うとまだまだな気がします。ですが、日本でも国内市場の縮小などに伴い企業の海外進出は加速しており、大手企業の中には採用条件としてTOEICのスコアを設定する企業も増えてきました。こうした社会状況の変化から、日本人の英語の必要性に対する認識も変わりつつあるように思います。

 

間違いを恐れない国民性

オランダ人はビジネスをする上で英語の必要性を熟知していると述べましたが、オランダ人が英語が得意な理由はそれだけではありません。オランダ人は、語学学習に対してとても積極的です。彼らは、失敗を恐れない国民性で、実践の中で楽しみながらトライアンドエラーを繰り返し、その結果ぐんぐんと上達していくことができるのです。たとえ、正しい発音でなくとも口に出して伝えようとするし、また、上手く表現できなかったとしても、知っている限りの単語を並べ、ボディランゲージも加えながら伝えようとします。物怖じすることなくトライし、とにかくどうにかして伝えられないかとあれこれ言葉を探す中でアウトプットの練習をし、伝えられたことで達成感・充実感を得て、さらなる語学学習へのモチベーションとする、そのような好循環がオランダ人の英語力の最も大きな秘訣と言えるかもしれません。

そして、これは日本人であっても十分に真似できることです。日本人の場合、シャイで間違いを恐れる国民性がありますが、語学学習にとってそのような思考はマイナスでしかありません。学校での英語の授業や、英会話教室、道に迷っている外国人に話しかけてみるなど、日本に住んでいても英語をアウトプットする機会は探してみれば意外とあるものです。下手くそでもめちゃくちゃでも構わないので、オランダ人のマインド(精神)を真似して、ぜひトライしてみてください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか? たしかに、日本語と英語では言語体系が大きく違うため、オランダ人が習得するほど簡単には日本人が英語を習得することはできません。 ですが、オランダ人の学習方法や、学習にあたっての姿勢(精神性)は、大人子どもを問わず、大いに参考にできると思います。 語学学習は楽しむのが基本です。英語でコミュニケーションを取ることができる喜び・楽しみを大切にしながら、あるいは、思い通りにコミュニケーションを取ることができる自分を想像しながら、学習していきましょう。