離婚に伴う親権問題について、父親が親権を主張してもなかなか勝ち取ることは難しいのが現状です。
過去の親権争いの裁判ではほとんどのケースで母親側が勝っています。
離婚調停や裁判において親権を獲得するのはほとんど母親の方で、その割合は8割以上に上ります。
ではなぜ父親が親権を獲得するのが難しいでしょうか。
調停や裁判で親権が争われるとき、重要視されることは子供の幸せにとっては父母のどちらに親権を持たせるのがいいのかということです。
そして一般的に、継続して監護養育できる母親の方が子供にとって幸せであると考えられる背景があります。
多くの家庭では、父親はフルタイムで働いているでしょうから、なかなか子どもの面倒を日常的にみるということが困難でしょう。
共働きであっても、多くの場合、母親が時短勤務、フレックス等を活用して保育園・幼稚園の送り迎え、夕食の支度等をする場合が多く、どうしても母親主体の育児になる家庭が圧倒的多数なのが現実です。
そうすると、継続的に監護養育にあたっていたのはどちらかという基準で考えると母親ということになり、母親の方が親権者にふさわしいという判断になりやすいのです。
また親権者を決定するときは子供の意思も考慮されるのですが、このことが父親が親権を取りにくくなる原因の一つでもあります。
家庭裁判所は、親権者の指定をする場合に子どもが15歳以上のときは、子どもの陳述(意見)を聞かなければなりません。
また15歳に満たなくても10歳程度になれば、子ども自身が自分にとって父母のどちらがいいかをある程度考えることが可能なので子どもの意思が尊重される傾向があります。
そうすると母親の方が子どもと過ごす時間が長く、主に母親が子供の日常的な世話をしてきたとするとどうしても子どもは母親の方により強い親愛の感情を抱く傾向があります。
特に乳幼児の場合、母親と引き離すと泣き出してしまう子どももいますのでどうしても母親が有利な傾向にあります。
それでも父親が実際に親権を勝ち取ったケースはあります。例えば
① 父親側の環境が良いケース
① 父親の両親が同居をしており、子供の面倒を見てもらえる環境が整っていた
② 父親の収入レベルが高く、母親よりも明らかに子供の健やかな発育のための環境が作れる
このような場合には父親が働いていたとしても、子供は父親の両親から継続的に監護養育されることができます。
また父親の方が収入がある場合、子供は経済的に健全な成長が見込まれるといえます。
もっとも、仮に裁判になった場合、これらのことを証明するために、普段から日記をつけたり、写真を撮ったりしておくとよいでしょう。
② 母親の環境が悪いケース
① 母親が親権者確定前に子供を意図的に連れ去って、父親に会わせないようにした
② 母親の収入が少ない、母親に借金がある、仕事時間が長いなど子供の健やかな発育のための環境が作れない
親が子供を勝手に連れ去ろうとした場合には、親権者としての適格性を欠くと判断されてしまいます。
また、いくら一般的に母親の方が子供を継続的に監護養育できるといっても、母親の収入があまりに低い場合には、子供の健全な発育が期待できず、父親が親権を取れるケースがあります。
父親が親権を取るためのチェック事項まとめ
父親が実際に親権を取った事例を紹介しましたが、実際に離婚したら自分は親権を取れるのか気になるところでしょう。
それを判断するための分析ポイントを挙げてみました。自己分析してみてください。
1 現在の養育状況で見直すべき7つのポイント
① 同居の有無
現在子供と同居しているか,どのように養育に関わっているのか。別居しているのであれば,その経緯,理由。今後同居は可能なのか。
② 子供との信頼関係
10歳前後からはどちらと住みたいかという子供の意思も重視されます。
③ 子育てに充てられる時間
勤務状況,子供が病気の場合の対応など。
④ 居住環境
これまで子供が住んできた環境を維持できるのか。実家に連れて帰る場合は,なぜその方が良いのか,などの説明。
⑤ 親族から得られる協力
実家で同居して自分の親が助けてくれる,近くに親族が住んでいて協力してくれる,など。
⑥ 財産・収入
自分の方が財産・収入が多い,自分と生活する方が経済的に豊かな生活ができる,ということ。養育費,児童手当等の福祉的給付もふまえて考えましょう。
⑦ 面会交流の可否
同居している場合は,子供が相手と会うことを認めているか,会わせているか。別居している場合は,もし,自分が親権者となったら会わせるつもりがあるのか 。
2 過去の養育実績
① これまでの子育ての実績(時間・内容)
子供の塾の送迎,病気の対応,学校行事への参加,洗濯,食事など,具体的にどのように関わってきたのか?
② 父親が親権を取れた場合、妻から養育費は取れるのか?
基本的には養育費をとることができます。養育費は、別居している親が子どもに対して支払うべきものなので、父親が親権を取った場合には母親から養育費を受け取ることができるのが原則です。
養育費は、法律的には扶養義務と呼ばれるものの履行の一環です。養育費の支払義務は「生活保持義務」という自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を、扶養を受ける者にも保持させる義務に分類されています。
つまり、養育費は「余裕がある場合に支払えばよい」ものではなく、「親が生活水準を落としてでも支払うべきもの」となり、それは、父親であっても母親であっても同じことです。
③ 父親が親権を取れなかった場合
やるべきことをやっても親権を得られない場合はあります。その場合は、面会交流権を確保しておきましょう。面会交流とは非親権者と子どもが会うことで、通常は月1回程度を目安に行われています。ただし、これはあくまで目安ですから、当事者の話し合いで回数を増やすことは可能です。
いかがでしょうか。父親が親権を取るのは難しいかもしれませんが、子供を継続的に監護養育できることを証明できれば親権を取ることも可能です。ぜひ参考にしてみてください。